地獄のハーレム

ズバッ‼ズバッ‼ズバッ‼
構えた刀から繰り出される上段、下段、払いで流れるように切りつける。
『ぐぁあああ……』

「よく斬れる。これは模造刀なんかじゃないさ……町の人の思いがこもった真剣だ」

「くそっ!全員でかかれ!!」

20人強の男達が一樹を取り囲むように襲いかかる。
中には刃物で向かってくる男もいる。

「雑魚がいくら束になってもこの刀に勝てるかよ!」
キィン‼キィン‼キィン‼
ドサッ……ドサッ……ドサッ……

「お前ら!!いつまでも倒れてるんじゃねぇ!さっさとコイツを始末しちまえ」

フラフラと立ち上がる男達は、一斉に一樹に襲いかかる。

「バカかよ!斬られてるんだぞ!これ以上向かってきたら死ぬぞ」

「ははは♪俺の仲間の心配をしてもらってどうも!」
バンッ!!

一瞬だった。一樹と鍔迫り合いをしていた男はステージ上から発砲された弾をモロに食らって倒れる。

「仲間じゃねぇのかよ!」
「コイツらは対警官用の盾だ」

「くそ…」
「オラァ!!」

「しまっ…!!」
1人の男に腕を蹴られ刀を落としてしまう。
すかさず刀を遠くに蹴られ、一樹は丸腰になってしまった。

飛ばされた刀は女子生徒の前で止まり、拾いあげようと屈む。
「あぶねー!」

ステージ上から生徒を狙っているのが見えていた一樹は両手を広げ銃の軌道の間に入った。
バンッ!!

「うそ…羽田…くん。血が……」
「大丈夫……怪我してないか?」
「私は平気…でも羽田くんが…」

浴衣は徐々に赤く染まり、深い失血をしてしまった。
「刀…ありがとな」

「ははは♪よく守ったな!次はどこに向けようかな」

ーー下の男達を相手に守り切れるか?いや…やるんだ。
「俺達は前へ進む。いつまでも過去に怯えるのは今日で終わりだ!お前ら全員捕まえてーー」
パンッ‼

「一樹!!」
壁際に避難していた女子達の中から一番大きい声で叫ぶ由紀。
刀を壇上にいるリーダー格に向けた瞬間、再び脇腹を撃ち抜かれてしまった。

あまりの激痛に片膝をつき息を荒げる一樹。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
「随分苦しそうじゃねぇか♪次で楽にしてやるよっ!!」

ーー……来る。2秒後に右へ飛ぶ。
パァン‼
「避けた。一樹すげぇ」

ーー次、間髪入れずに後ろ、右の順に飛ぶ
パァン‼パァン‼
「まぐれじゃない……一樹には読めてるんだ。勝てる」
「闘いの中で進化するなんて格好良すぎるぜ一樹」

ーーラスト、左に避ければ弾切れ。そこを突く
パァン‼カチン……カチン……カチン……
「くそっ!く……来るなっ!!それ以上近づいたらこの人質の女を殺す!」