すっかり日が暮れ辺り一面暗闇の中、由紀と一樹は歩いていた。

「一樹、今日はありがとう。ここで大丈夫だよ」
「どういたしまして♪」
「ん…」

由紀はおもむろに目を瞑り、顎を上げた。

ーーキスの要求か。この夏休みいつもデートの終わりはキスで締め括ってたからな。
「あいよ」

しばらく唇を重ね離したあと、二人は笑顔で手を振り合った。
「おやすみ、由紀」
「うん。おやすみ」

由紀が見えなくなるまで見送ったあと、一樹も振り返って家へと歩き出した。

「ックシュン!!風邪ひいたかな……」
ーー今日は早く寝よう。

……………………
………………
…………
次の日の朝…

ピピピ…ピピピ…ピピピ…

ーー朝か……完璧やったな……
「風邪ひいた……」