「先輩、いらっしゃい♪」
「美紀ちゃん。こんにちは」

若干緊張している一樹は、恐る恐る中へと進んだ。
「あら、羽田くん。いらっしゃい。由紀も美紀もお世話になってます♪」
「こちらこそ……二人にはお世話になりっぱなしで」

「ねぇねぇお姉ちゃん。愛ちゃん呼んで良い?」
「いいけど……一樹会った事ないんでしょ?」

「昨日二人でいるとき会ったよ♪サッカーの一回戦で俺らにボコボコにされたって言ってた」
「そうだったのね」

美紀がリビングを出ると母親は由紀を抱きしめ……
「良かった……去年までの由紀だったら彼氏を家に連れてくるなんて絶対考えられなかったのに……よく頑張ったね」

「ちょっとお母さん……恥ずかしいって」
「お父さんもきっと喜んでるわ」

そういうと母親は仏壇に顔を向けた。

ーー由紀のお父さん……亡くなって……学校じゃそんな素振り無かったのに……
「あの……お線香、あげさせてもらっても……」

「えぇ♪喜ぶわよ~。ほら、由紀も一緒に」
「うん」

二人で並び手を合わせる。
しばらくして顔を上げた二人はリビングへと戻った。