――しっかしデカい高校だな。どこかの城みたいだ……ん?町のおばさんがこっち見てヒソヒソ話かよ……
「まぁ仕方ないか。本来なら授業始まってるし……不良学生とでも思われてんだろう」


「一樹……」
「婆ちゃん♪久しぶりだね」

校門の奥からやって来た一樹の祖母は、優しそうな顔立ちで成長した孫を嬉しそうに見つめる。

「よく来てくれたね〜まずは職員室に行こうかね」

――婆ちゃん全く変わってない。腰も曲がってないし……ちょっと安心したよ
「婆ちゃん、この学校大きいね〜」

「あの人は大きい事が好きでね。私はこんな田舎の港町にそんな学校いらないって言ったのに聞きやしない……でも、今となっては形見みたいなものだからね〜」

「爺ちゃんが創ったのか〜♪グラウンドは見えないけど多分大きいんだろうな」

「さて、着いたよ。今は授業中だからここには少ししか居ないけど……入りなさい」
「失礼しま〜す。今日から麗華学園に編入してきた羽田一樹です。よろしくお願いします」

教師達は一瞬驚いた表情を見せ、隣にいる理事長に視線が集まった。

「先日お話した私の孫です。質問は後にしましょう。一樹くん……こちらへ」