剣の静かな言葉に、テトラは押し黙る。


 どこまで本当で、どこまで信じて良いのか。それは分からない。


 しかし、この剣は自分のもとに来た。
 こんな、一般人さえ忌み嫌って寄り付かない所に。


 その事実は、本当に頼れる者が自分しかいないことを語っている。


「確かに、テトラにできることは限られているかもしれない。危険もある。
でも、誰かが動かなきゃ、クラネ姫は危ないままだよ」


「……うん」


「だけど、確実に変わることがある。そしてそれは、テトラじゃなきゃできないこと」


「え?何が変わるの?」


 先程と同じように静かな声で、剣は言い切った。


「姫の心。
自分の大事な人が助けてくれようとしたって感じるだけで、人は嬉しくなるものだよ」


 何だか感動的なその言葉に、テトラは思わず動かされそうになる。