翌日。
 テトラは朝っぱらからとんでもない言葉を聞くこととなった。



「『姫を狙う人が捕まった』?」


 昨夜も遅くまで話し込み、ようやく眠れた……と思うか思わないうちに叩き起こされたテトラは、目を擦りながら発言者を見る。


 発言者、つまり剣は慌てた風に続ける。


「さっき、ご主人様から連絡があって。
ついによからぬ輩が動き出したみたい。どうしよう、時間がない!」


「……まあ、1人が動き出したってことは、今後うじゃうじゃ出て来るってことだよね」


 珍しくテトラが鋭いことを言うので、剣は驚く。


「まさか……決意してくれた?姫を救出に行くの」


 ほんのり期待を込めて問うと。


「逆だよ。こんな時に行ったら、僕らも誘拐犯になっちゃう」


 その期待をあっさりと破ってくれた。