「良いですか?我が国には、主に4つの身分が存在します。

王族、貴族、平民族、不可触族です」


 女性の怒鳴るような声を、少女は全く聞いていなかった。


 彼女の瞳に、目の前の教科書など映っていない。


「特に、良いですか?不可触族は接触……いや、視界にも入れてはいけません」


 女性の声は更に大きくなり、そして。


「聞いておられますか!?クラネ様!!」


 見事にバレていた。


 クラネと呼ばれた少女は、面倒くさそうに女性を見る。


「妙な話だな。この国は『平和宣言』とやらをして、差別撤廃を進めているのではないのか?」


 その言葉を聞き、女性は怒りを鎮める。


「その通りでございます。予習はしっかりやられておられるようですね。授業も真面目に受けてくださると良いのですが」


「お前のお喋りなど、聞いても面白くない。質問に答えろ」