「んっ…ねぇ、せん…せ。」

「何?」

北原は意地悪だ。
あたしがもう崩れ落ちそうになってるのを知ってるくせに、支えようともせずに絶え間なくキスをする。

こんなキス、あたしは知らない。

「あたし…声…出ちゃう…。」

最後にちゅっと音を出して、北原が離れる。

あたしの目を見て、「涙目だよ。」と笑う。

「……かわいいな。」

…は?
この人、そういうの言うんだ。

間近でにこっと微笑まれて、胸が高鳴る。

別に好きっていうわけじゃないけど、なんだか…泣きたくなるほど安心する。

「…場所変えるか。それでもいい?」

あたしが頷くと静かに体が離れた。

本当にいいのかなって問いかける自分がいる。

でも、この寂しさを埋めるにはどうしてもこの温もりが欲しいと思った。