乱れた制服を直しながら彼を見た。

ケンは別にかっこいいわけじゃない。
ただどこか安心する空気があって、あたしはそれにやられてしまった。

ケンとするようになったのはなんとなくだった。
特に断る理由もなかったし、むしろそうすることで忘れられない恋を忘れようとした。

つまりあたしは彼を利用していたってことになるのかもしれない。

だけどそれはケンも一緒。

彼は彼女のことが好きで、彼女も彼のことが好き。
だけどそれが妙に空しくなる時があるらしくて、そんな時ケンはあたしのところに来る。


浮気っていうわけじゃない。

してることは浮気だけど、そうじゃない。

彼はあたしを見ていないから。

彼の気持ちは彼女のものだから。