会社に着いて、いち早く若菜ちゃんに“例の事”を報告した。


すると若菜ちゃんは両手を上げて大喜び。


「バンザーイ!!本当ですか!?ジンがそう言ったんですか?」


「そうなの!時間があったらって。」


「ヤッタ!超ラッキー!」


「先輩、ついに私にも新たな恋の予感がしてきましたよぉ~!」


こういう時の彼女は素直でかわいい。


私もつられて笑顔になる。


――そしてある水曜日


ライブハウスの近くにあるイタリアンレストランで食事会をすることになった。


私と若菜ちゃんは仕事を定時で終えるなり約束のレストランへ向かった。


若菜ちゃんの今日のファッションはかなり気合いが入っている。


クルクルの髪、いつもより二倍増しのマスカラ。


なのに、信号待ちの間にまた鏡を出してマスカラを塗りたくっている。


すごい……


まるで目の上で孔雀が羽を広げているみたいだ……。


店に着くと、仁達の姿はまだなかった。


しばらく待っていると仁からメールが届いた。


実はこの前食事会を口実にメアドを交換したんだ。


《もうすぐつく》


それだけ……。


絵文字も句読点もない、漢字すら変換しない


超サッパリしたその文面がいかにも仁らくてウケた。


「もう着くって!」


「きゃーどうしよっ。」


ソワソワと、また鞄から鏡を取り出して最終チェックを始める若菜ちゃん。


……あんまり変わらないと思うんだけど。


“ウィーン…”


その時、店の入口が開いて男前二人が並んで入って来たのが見えた。