“チィッ…”


“チチチッ…”


んっ…うーん…。



微かに聞こえる小鳥のさえずりで目を覚ました。


あっそっか……


私寝ちゃったんだ。



はっ!


仁……


慌ててベッドの上に目をやると、既に目を覚ましていた仁が笑ってこっちを見ている。


その眩しい微笑みに少しドキッとした。


「あっ…あれ、起きてたの?!」


「お早い目お覚めで……。」


冷やかすようにそう言った。


「……おはよぅ。」


仁はすっかり顔色も良くなっていた。


「何あんた、ずっといたわけ?」


はっ、そうだ…お泊りしちゃった。


「やっ…だってしんぱ…」


言いかけてやめた。


心配だったなんて言ったらまた茶化されるから。


「……悪かったな、俺がライブ見にこいって言ったのに。」


「あぁ…いいよ、仕方ないじゃん。」


本当は少し残念な気持ちを押し殺した。


「あっそうだ!聞いたよ!新曲。いい曲だね。」


「演奏だけだろ?」



「演奏だけでもわかったよ!すごいいい曲!」


「……。」


「…ん?」


仁は突然立ち上がった。


何々?


仁は部屋の隅に置いてあったギターを手にしてまたベッドの脇に腰掛ける。



「…えっ何するの?」


「聴かせてやる。」


そう言って仁はギターに手をかけた。



すごくドキドキした。


私、一人の為に弾いてくれるの?


世界で初めて仁の作ったあの曲を、こんなに真近で聴けるなんて……


仁はゆっくりギターの弦を弾いた。