「先輩どうしたんですか?朝からイライラオーラ全開ですけど・・・。」


デスクの前に座っている後輩の若菜ちゃんが、パソコンの向こうからそう言って顔を出した。


「聞いてくれる!?それがさぁ……」


息をするのも忘れるくらいの勢いで、私はイライラ原因を彼女に聞かせた。


「へぇ~、そんな事があったんだぁ。」


「ほんっと最悪すぎ!」


怒りに震える私を見て、若菜ちゃんは少し冷やかすような口調でこう言った。



「でもそういうのってちょっとドキドキしません?案外恋愛に発展したりするパターンだったりして!」


はぁ?何を言うの・・・。


「ないない。」


ありえない。


「えぇ~、初めての一人暮らしで隣りに若い男が住んでるなんて、絶対恋が始まる予感するじゃないですかぁ~。」



「無理無理!生理的に無理。」



「男前でした!?」



そう言って何故か目を輝かせる若菜ちゃん。



「……顔?」



正面で若菜ちゃんがワクワクしながら私の返答を待っている。



そういや……。


斜め45度を見上げ、奴の顔を思い浮かべる。