「もう………ほんっとに……うんざりだわ。」



佐田さんはそう言って窓の外に目を向ける。



私達は、長い沈黙の間もずっと頭を下げ続けた。



そして、窓枠に手を掛けた佐田さんがボソッと呟くように言った。



「……勝手にしなさい。」


えっ…



小さい…、本当に小さい声だったけど、佐田さんは確かにそう言った。



「…帰るわ、会見の用意……しないと。」



まだ少し放心状態のまま、後ろを振り返り病室を出ていく。



一瞬私達は状況が理解出来ず、頭を上げて顔を見合わせた。



えっ…これって……



これってもしかして…?



「認めて……もらえた?」


思わずケンチャンに問い掛けた。



ケンチャンはニヤッと笑ってこう言った。



「……って、ことじゃね?」



ベッドの仁に目を向ける。


仁はただ無言で微笑んでいた。



や…やった―…。



やった!!!



私と仁は、たくさんの人の力を借りてやっとここまでたどり着いたんだ。



ありがとうを100万回口にしてもきっと足りないぐらい…



本当に―…



感謝でいっぱいです。



本当に…



本当に…



ありがとう、みんな。




――そして、それからひと月後




驚異的な回復力を見せた仁は、心配されていた言語障害もなく無事退院の日を迎えた。




事務所や例のファンサイトには、ジンの復帰を心待ちにしているファンからの手紙やメッセージが多数寄せられた。



それに答える為に、仁も少しづつ仕事の量を増やし順調な再スタートを切った。


そんなある日の事だった――



佐田さんからお呼びが掛かり、マイクロシティのメンバーが全員事務所に集まったらしい。



その日の夜、仁から連絡が入り意外な話しを聞いた。



《大晦日にマイクロシティの復活ライブをやる事になったんだ。》




えっ復活ライブ!?