キミのとなり。

「いつまでそこにいるつもり!?」



えっ……



佐田さんは視線を仁から私に移してこう続けた。



「あなた、この前言われた事もう忘れたの!?」



硬直した体で立ち上がる。


「あっあのっ…」




「…もういい加減わかってくれない!?あなたとジンじゃ、住む世界が違うの。釣り合わないの!!あなたといると仁は益々不幸になるの!!」



静かな病室に佐田さんの怒りに満ちた声が響く。



「さっ……佐田さん…、こいつは…千秋は何も……悪くない。」



仁は、私をかばってそう言った。



「…何言ってるの?今回の事故はこの子のせいじゃないっ!!この子が一緒だと、ろくなことがないって今回のことでっ……」



「違うよ佐田さん……。」



佐田さんの怒鳴り声とは反対に冷静な声で仁はそう言った。



「違う。俺はこいつと出会って初めて“生きる意味”を見つけた気がしたんだ。」



えっ―…



「…なっ何言って…あなたには唄があるでしょ!この世界のトップに立てば、女の一人や二人いくらでもっ…」



「こいつじゃないと…ダメなんだ。」



仁…―



仁は傍らに立ち尽くす私の手首を優しく掴んで続ける。



「事故に遭った時、真っ先に思った。こいつ遺して……死ねるもんかって…。初めてなんだ…。誰かの為に生きていこうって感じたのは。」



仁……。




「この世に変わらない愛情なんてないんだって思ってた……」



『こいつに出会ってわかったんだ。』



「…変わらない愛はあるって。間違いなく俺の中に……。」




仁は痛む体を必死に起こそうとした。