――翌朝



いつもより少し早く起きた私は、ある決心を胸に会社へ向かった。



昨晩ずっと考えていた。



今、私にとって１番大事な事は何か。


そして、その為に私は何ができるのか。



答えは一つだった…。



清々しい快晴の空の元、会社のロビーに足を踏み入れる。



受付であづささんと話し込んでいた弘人が私に気付き声をかけてきた。



「おい、千秋！」



「おはよう。」



私は元気にそう挨拶をした。



弘人は一瞬あづささんと目を合わせ、困惑した表情を見せた。



「…おう。お前…大丈夫なのか？」



事故の事をニュースで知った弘人はとても心配そうな顔で私を覗き込む。



「先輩！！」



そこに、入口から若菜ちゃんと桜井君が並んで出勤して来るのが見えた。



「おはようございます。」


「おはよ！」



「今そこで桜井君に偶然会って！」



「うっす。」



桜井君と目が合い、私は昨日の事を謝った。



「昨日はごめんね、大丈夫だった？」



彼は指でオッケーサインを作って笑った。



「大丈夫大丈夫！俺やで！？」



「とか言って～、ギッタギタに怒られて不機嫌だったのどこの誰かな～？」



お茶らける桜井君の隣で若菜ちゃんが呟いた。



「バッバカ！余計な事言わんでいいねん！」



私たちの目の前で、すっかり仲良しな様子の二人。



「本当ごめんね。」



私がもう一度謝ると、桜井君はまた優しくニッと微笑んで見せてくれた。



「…今日も行くんやろ？」


「うん、行くよ。」



「仕事終わってから？」



「……うううん、今から。」


私がそう言うと、弘人も若菜ちゃんも桜井君も目を丸くする。