キミのとなり。

「そう…っすか。なら…よかった。」



そう言う桜井君の後で、そっと笑顔をこぼした。



そばにいられなくても…



横で手を握っていられなくても…



私はここにいるよ。



……ちゃんとここにいる。



「あっ…じゃー僕たちはこれで!」



私の手を引いて去ろうとする。



「あっねぇもしかしてあなた…」



やっやばいっ…


勘ずかれた!?



“ダダッ…”



その時、桜井君が逃げるように私の手を引いて走り出した。


“ハァハァハァハァ…”



そして、二人息を切らせて中庭に出た。


「危なかったな。」



「うっうん…ハァハァ…」


桜井君は後ろにあるベンチに腰を下ろす。



「どうしよか…あのボディーガードにはさすがに勝てそうにないしなぁ。」



「…だよね。」



私もゆっくり横に腰掛けた。


「だからってここまで来て引き下がんのもな。」



桜井君は必死に私たちのことを考えてくれていた。


私もこのまま帰るなんて嫌だ。



会いたい。



仁に……会いたい。



静かに手に抱いた花束を見つめた。



「………。」



桜井君は、そんな思い詰めた様子の私を横から見てこう言った。



「よっ…よし!ダメもとや!いこっ!」



え…?


素早く立ち上がり、力強く一度頷く。


「……。」



うん。



そうだよね。



何もしなきゃ何も始まらない。



会いたいから会いに行く…


ただそれだけ。