キミのとなり。

――7時過ぎ



部長に頼まれた仕事を急いで終えると、オフィスを出る。


もぉ、よりによってなんでこんな日に残業なんだよー。



腕時計を確認。



でもよかった。なんとか間に合いそうだな。



会社を出た所でタクシーをつかまえる。



目の前に一台のタクシーが停車し、慌てて乗り込む。


行く先を告げると、タクシーはゆっくり走り出した。


後部座席で一人ソワソワと落ち着かない。



化粧ポーチから口紅を取り出し唇に当てる。



今日はなんとなく若菜ちゃんの気持ちがわかる…。



滅多にしないけど、


今日は……



今日だけは1番綺麗な自分で会いたいから。



《今向かってるよ!》



そう車内から仁にメールを送った。


――数十分後



タクシーは見覚えある懐かしい場所に着いた。



おつりを受け取りタクシーを下りるとスゥーッと二度深呼吸―…



うわー懐かしいな。



仁と再会した日のことを思い出す。



なかなか足を踏み入れる勇気がなかったんだよね。



震える手で扉を開けたら、いたんだ……



大好きな仁が…



今でも思い出すとあの時のドキドキが蘇ってくるよ。



あの時はまさか、先にこんな試練が待っていたなんて思いもしなかったよ。


だけど、やっとここまできたんだ。



やっと……



素直な気持ちで向き合える。



よしっ!



清々しい気持ちで、一歩一歩階段を駆け上がった。