「……週刊誌の方はどう?」



「えっ?……あー、うん。相変わらず…かな。」



「この前、うちの会社の受付に週刊誌の記者みたいな奴が何人か来たらしいで。」



「えっ!」



「ジンと付き合ってる女子社員の噂を聞いたことがないかって聞かれたらしいわ。」



うそっ…



もうこんなところまで嗅ぎ付け始めたの!?



「あっでも大丈夫、OLっていうところまでしかバレてないらしいから。なんか取り合えずあちこちの会社、手当たり次第当たってるだけみたい。」



ホッ…



そうなんだ。



「……あっ、じゃー会社で待ち合わせってマズイかな!?」



「え?」



あっ…



「今日…会うん?」




「…あっ、……うん。今日誕生日なんだ、私。」




その時、エレベーターは階に着いて扉が開く。



「…そうなんや!それは、おめでとう!」



まだ少し引き攣ってる笑顔……。



「うん、……ありがと。」


オフィスに入り、向かい合わせのデスクに着く。



会社にまで記者が来ていたなんて……



もし、私だってバレたら…



震える指でパソコンを開くとすぐ、メールを受信した。


《From  桜井》



《HAPPY BIRTHDAY!先輩★けど、待ち合わせ場所は変えた方がいいかもな!せっかくの誕生日やし、誰にも邪魔されへん場所で二人でゆっくり楽しんできてな。》



……桜井君。



本当、優しいね…



すかさず返信――



《そうした方が良さそうだね、ありがとう!!》



ごめんねとか、そういう事は言わないよ。



普通に接してくれてる彼の勇気を踏みにじる事になると思うから…。