「途中だろ。」



「やっ…だっ…だって、」



「気にすんな。」



「えっ…」




「たまたま頼まれてたの思い出して……ちょうどスケジュールも空いてたし。」



仁……



「それだけだ、じゃーな。」


仁は素っ気なくそう言うと、私に背を向けて去って行く。


「どっ…して…」



その背中に向けて投げ掛けた。



「どうして、あんな事言ったの?」



仁は決して振り向こうとしない。



「仁、…私ね、…私、今っ」



「早く戻れ。終わっちまうぞ。」



そう言うと、一度も目を合わせることもせず、仁は去っていく。



例えようのない切なさが込み上げる。



でも、追い掛けちゃいけないって私の中の何かが足を止めた。



小さくなる背中を見送る。


今もまだ、あなたを想ってる……



そう言いたかったのに、言葉にできなかった。



不甲斐ない自分が嫌い……