「なッ何!?」



びっくりして跳び起きた。


「思い出しましたよ先輩!」


どうやら仁を知っていたらしい。



「で……どこで会ったの?」



「雑誌で見ました!」



は?雑誌…?



あいつは芸能人かっ!



「んな訳ないじゃん!人違いだよ。」



「間違いないですよ!」



やたら自信たっぷりにそう言うので、一応電気を点けて話しを聞いてみる事にした。



「前に、インディーズバンドの特集やってた雑誌があったんですけどぉ、その中に載ってました!確か名前は……」



「そう“ジン”だ!」



まっ間違いない……



インディーズバンド?



「えっじゃー何?あいつ、歌手なの?」



「駅前にあるライブハウスであの人のバンド結構人気があって、私の友達でもしょっちゅう見に行く子がいるんですよ!」



ハッ!



そういえばいつも背中にギターらしき物を背負ってたな。



今まで特に気にして見てなかったけど……。



へぇーあいつ歌を唄うんだ。


ちょっと興味があったので聞いてみた。



「どんな唄?ハードロック!?」


イメージからいくとそんな感じだな。



「違いますよ!優しい唄声で、癒し系バンドだって有名なんですよ。」



いっ癒し系!?



有り得ない……。



あいつとはあまりに掛け離れた言葉だ。



でも…
一体どんな唄声なんだろう。想像もつかない。



なんだか少し興味が沸いた。