「ねぇ。」



お皿を運び終えた晶子が口を開く。



「今日泊まって行きなよ。」


「えっ!?いっ……いいよ、さすがにそこまでお世話になるわけには……」



「だって、宿無しでしょ?それとも、マンション戻る?」



「……。」



晶子の少し意地悪な言葉に黙り込み、ゆっくり首を振る。



「だったら、ここにいなよ。うちは全然迷惑じゃないからさっ!」



「でも……」



「ってか、私達三人はそんな気遣う仲じゃないじゃん!」



ポンッと私の肩を叩く。



「ありがとう。」



「よし!決定。」



「でもっ!」



「えっ?」



「でも、今日はこれ食べたら帰る。」



「帰るって……行く宛て……」



「行く宛てはあるから大丈夫。それに、なんか晶子と晃のラブラブっぷり見てると余計辛くなっちゃいそうだからねっ!」



「千秋……。」



嘘をついた。



やっぱりいくら親友と言えども、家族団欒の時間を邪魔しちゃいけない気がして……。


部屋着に着替えた晃を交えて、4人で食卓につく。



会話は弾み、久しぶりにこんなに笑って食事をした気がした。



「それじゃー、また来るね!」



楽しい時間を終え、荷物片手に玄関に立つ。



「本当にいつでもおいでよ?」


晶子が心配そうにそう言った。



「うん、ありがとね。」



「本当に送って行かなくていいのか?」



睦月ちゃんを抱いた晃が夜道を気にしてくれている。


「うん、タクシー拾うから!」



「おねぇちゃん、バイバイ。」


眠そうな目で私に手を振る睦月ちゃん。



「またね!バイバイ。」



それに答えるように私は三人に手を振り、玄関を後にした。



なんでだろう……



一人になった途端、寂しさが込み上げて来た。



このまま一人でいたらきっと孤独感に押し潰されるんじゃないか……



そんな気がした。