翌日――


「はい、これ。」


そう言って仁が私に手渡したのは、なにかのチケットのようだった。


「何?」


私が問い掛けると仁は煙草に火を付けながら答える。


「この前言ってた旅行。」


「えっ?もう予約したの?」


「いや、俺の知り合いでグアムに別荘持ってる奴がいて、貸してくれるって。」


えぇ!?


ごくごく普通の温泉旅行をイメージしていた私は、予想外の展開に困惑した。


グアム!?


しかもホテルじゃなくて別荘!?


「えっでも、休みとれたの!?」」


そうだよ、こんなに忙しい中、連休なんて無理でしょ!


そんな私の疑問に、仁はいたずらな笑顔で答えた。


「余計な心配すんな。」


余計な心配……って。


本当に大丈夫なのかな。


ふと、立ち上がった仁が言いそびれた事を私に伝える。


「あぁ、晃たちも誘ったから。」


「え?」


それは久しぶりに聞く名前だった。


晃と晶子が結婚してもうすぐ2年・・・。


今は1才になる女の子のパパとママでもある。


仁の事で二人にはたくさんたくさん心配をかけ、時に助けてもらった。


晶子とは今でもたまにメールはするけど子育てが忙しい様子でもうしばらく会っていない。


そんな二人、いや三人に会えるなんて……。


そんな仁のさりげない気遣いに、ポッと気持ちが温かくなった。


最近、落ち込み気味だった私への優しい思いやり。


なんだか久しぶりにワクワクしてきた。


「うぅ~やったぁ!!」


立ち上がりガッツポーズを決める私を見上げて仁がボソッとつぶやく。


「単純なやつだなぁ。」