深夜2時――



「……っい、おいっ。」



誰かが、私の肩を揺らしそう呼んでいる。


「ん……んっ?」


ぼんやりとした視界が次第に鮮明になって、それが仁だとわかった。


「あぁっ!!」


ガバッと勢いよく起き上がり、仁の衿ぐりに飛び掛かる。



「こらぁ!!」



「なっなんだよっ!?イッテェなぁ。」


「何よあれ!どういうこと!?」


「あぁ!?」



「柏木さくらとキスしてたでしょうがぁ!」


私がそう言うと、仁は一瞬動きを止めて「あぁ……。」と面倒臭そうに言った。


「あっ“あぁ”じゃないよ!!聞いてないよ!?」


仁は衿に掴まる私の手をゆっくり解くといつものようにタマを抱き寄せた。


「別に話す事でもねぇだろ、仕事なんだし。」


むっかぁ~!


「鼻の下伸ばしちゃってバッカみたい!」


「伸びてねぇ!ってか、素直に妬いてるって言えばいいだろ、かっわいくねぇ!」


「やっ妬いてない!!」



「なら、一々こんな事でグダグダ言うな!面倒臭ぇ!」


うっううううっ!!


爆発寸前……。



「もう、いいっ。」


悔しくなって泣きそうになった。


そして私は、涙が零れない内に寝室へと逃げ込んだ。