マンションへ帰ると、やはり仁はまだ帰っていなかった。


「はぁ~……。」


ぐったりとソファーにもたれ込む。


目を閉じると、さっきのキスシーンが目に焼き付いて何度も何度も蘇ってくる。


くぅ~~~ムカつくなぁ!なんなのよあれは!!


さくらめぇ~~!!


「……なんか、虚しい。」


だけど、あまりにも綺麗すぎて悔しいけど本物の恋人のようだったな。


ただの仕事だと割り切れば楽なのに。


そう出来ない自分がいる。


不器用で子供過ぎて腹が立つ。


『ミャー?』


タマが私の膝の上に飛び乗り私の顔を見上げている。


「タマァ……。」


タマの脇下に手を入れて抱き上げる。


「お前なんか最近、仁に似てきたね。」


「ミヤァ~」


なんだか見つめてたら腹が立ってきた。



「この浮気ものっ!」


「ミャ?」


そのままソファーに横になり、いつしか眠ってしまった。