キミのとなり。

「なっ何々、潜入取材？」


訳のわからない言葉が口から出て来た。



『違いますよぉ！バイトですバイト！！』



「バッ…バイト！？」



『はい！アイスコーヒーＭおまち～。』



エプロン姿の若菜ちゃんから、理由もわからず紙コップを受け取る。



『今ゆっくり話せないから仕事が終わったら御飯でもいきましよ！！』




小声で私にウィンクすると若菜ちゃんはまた違和感なく売店に溶け込み、仕事を始めた。



なんだ……？



夢か？幻か！？



でも確かに、今私の目の前でニコニコ笑顔で働いているのは若菜ちゃん。



いつも強引に私の背中を押してくれた若菜ちゃんそのものだった。



その日の終業後、よく昼休みに二人で行ったレストランで待ち合わせた。



「すいませーん！レモネードとペペロンチーノひとつぅ！」



そう言って店員に向かって手を上げる若菜ちゃん。



それはとても懐かしい光景だった。



私は変わらない彼女の笑顔に一瞬安心しつつ話しを始めた。



「元気してたの？」



「はい！もうバリバリ元気です！」



「いつこっちに戻ったの？」



「2ヵ月前ぐらい……ですかね！」



「言ってくれればよかったのにぃ。」



「私も言おうと思ったんですけどぉ、なんやかんや身辺整理が忙しくって～。」



そう言いながら鞄から鏡を取り出しヘアースタイルのチェックを始める。



相変わらずのマイペース。



「……身辺整理？」



ペペロンチーノが運ばれてくると素早く鞄に鏡をしまい、嬉しそうにフォークを手に持つ。


私は一番気になっていた事を聞いた。