次の日、私は会社で昨日の事情を説明し若菜ちゃんに謝罪した。


「そうだったんですかぁ!急に態度変わっちゃったからビックリしましたよ。」


「本当ごめんね!彼氏は大丈夫だった?」


トイレでマスカラを塗りたくりながら若菜ちゃんは答える。


「あの後、連絡して合流しましたよーでも神田さん気遣って帰っちゃってぇ。」


あぁ…、そりゃそうだろな。


弘人にも謝らなきゃ、悪いことしちゃったな。


「あっ……!」


急にマスカラを塗る手が止まる。


「どした?」


「そういえば神田さん、先輩にプレゼント用意してたんですよね~。」


「え?」


「聞いてません?」


「……何も。」


またマスカラを塗り出す。


「あぁ、じゃー結局渡せなかったんだぁ……。」


弘人が私にプレゼント…


益々罪悪感で一杯になった。


昼休みに、弘人に謝りたくて開発部を覗き込んだ。


だけど、弘人の姿はそこにはなかった。


どこ行ったんだろう。


なんとなく屋上へ足を運ぶと、開いた扉の先に弘人がいた。


寂しそうな背中……


一体何を思っているんだろう。


「弘人。」


私の声に一瞬ビクッとした後、ゆっくり弘人は振り返った。


「おぉ……」


なんだか元気がない様子。


「昨日はごめんね!せっかく計画してくれてたのに。」


私の言葉に弘人はいつものように微笑む。


「いや、別に大丈夫!」


全然大丈夫じゃなさそうな顔でそう答えた。


気まずい空気が流れる。


そして、その空気に耐え切れず先に口を開いたのは弘人だった。