新年を迎えて3時間が経過した頃――


ベロンベロンに酔い潰れている晃を介抱する晶子。


今となってはお決まりのパターン。


「も~ちょっと!晃!」


「ふにゃ~?」


「ふにゃーじゃないよ!しっかりしなさいよ!」


晃は何度揺すっても起きない。


「もう帰ろうよ!!」


「え!どうやって帰るの?!電車ももうないよ?」


「あっ…そっか~。」


「泊まっていきなよ、明日休みなんだし!」


「でもぉ……」


なんだか意味有りげな目で私たちを見つめる晶子。


すると仁がポケットから何かを取り出した。


“チャリンッ”


カギだ。


「俺の部屋使えよ。」


えっ……!?


それって…


それってどういう事!?


じゃー仁はどこに……!?


「やっ悪いですよ、どっか他泊まります。」


遠慮してカギを受け取らない晶子。


「こんな状態じゃ歩けないだろ。」


「まっ…まぁ確かに。」


チラチラと私を見る晶子。


どっどうしよう。


晶子がカギを受け取ったら仁はここに泊まる事になるんだよね。


心臓が爆発しそうだった。


しばらく考え込んだ晶子が口を開いた。


「……じゃー、お言葉に甘えちゃおう…かな。」


ゆっくりカギに手を伸ばす。


“チャリンッ”


晶子は私の視線を気にしつつ、カギを受け取った。


「あんまキレイじゃないけど適当に使っていいから。」


「はい、ありがとうございます。」


「……。」


晶子が晃を担いで立ち上がる。


「……じゃっ、じゃーお借りします。千秋っ…ごめんね!」


なんのごめん!?



「じゃーおやすみ。」


そう言って晶子は晃を連れて部屋を出ていった。