伏せられていた瞳が僕を捉えた。嗚呼、やっと、僕を映してくれたんだ。
そう、思った
途端
「…ど…して…」
少し見開かれた綺麗な目。
何を…驚いているの?
「どうして…君が泣いてるの?」
「…え──」
思わず触れた頬には風で冷たくなった少しの水。
「……」
「…ふふ、君だって泣いてるじゃない」
「……っ」
なんで。
僕は笑っていたはずなのに。君の代わりに笑っていたはずなのに。
いま、笑っているのは キミ
「……」
「……ごめんね」
泣きながら、笑っている君。
「…ごめんね」
「……うん」
僕こそ、ごめん。
やっぱり、笑っている君が好きなんだ。
我が儘言って、ごめん。
「…さむいね」
──手を繋ごう
「…雪、やんだね」
──白は街をうっすらと染めて
「…好き?」
──…笑う君が世界で一番 すき
「手を繋ごう」
決して溶け合うことはない、白いミトンと茶色の手袋が
「…あったかい」
いま、交わる途中
end.


