繋いだ手をそっと離して、僕は茶色い手袋を外した。


「……っ」


君の顔に手を伸ばして、ゆっくりと触れて。


「……笑って」


「……ひっく…」


僅かに冷たい僕の指先を

君の透明な滴が濡らした



「わらって」


苦しいなら笑おう

痛みが君を攫う前に。


「わらって」


悲しいなら笑おう

涙に全てを奪われないで。



「――…笑って」


それでもまだ、辛いのなら


僕が一緒に笑うから。
僕が代わりに笑うから。


だから…、


「笑ってよ」


笑う君が、とても好きだよ。