冷たい風が、隙間を縫って体をすり抜ける。


「さむ…!」

「さむいねー」


暗い夜道でも、隣を歩く君がギュッと顔をマフラーに埋めたのがわかる。

わかるくらい、近くに君がいた。


「うー」


いつも

近くにいたんだよ。


「……はー」



ねぇ、きみ

そんな風に笑っていたっけ?