その日の夜、俺は11年ぶりに実家に帰った。 思わず 「懐かしい」って言った。 「蘭の部屋は、杏の部屋の向かい側ね」 「うん」 「杏、案内して」 「はーい」 階段を登ってすぐ左が杏の部屋。 右が俺の部屋。 「中は掃除してあるから、きれいだと思うよ。 じゃあ何かあったら呼んでね。おやすみ」 「うん。ありがと、おやすみ」 疲れていた俺は、そのままベッドに倒れこんで寝た。