『誰?あんた?』
その子は一瞬悲しそうな顔をして、俺の質問に答えた。
「あたしは宮崎杏。蘭の遠い親戚だよ。
今は訳あって蘭のお母さんの家に泊めてもらってるの」
「そうなんだ。俺は、「あ!言わなくていいよ。おばさんから聞いてるから」
そう言うと杏は、優しい笑顔を見せた。
「あたしのことは杏って呼んでね。
あたしはもう蘭って呼んでるし」
「わかった、杏」
「ふふっ」
その時、
「あ、蘭いた。杏もいたのね」
「母さん、久しぶり。何か用?」
「蘭、今日からどこに住むの?」
「あ・・・」
「やっぱりね。家に住まない?」
「い、いいの?」
「あたりまえでしょ」
突然のことに驚いてしまった。
確かに俺は、今日から住むとこがない。
「ありがとう母さん」
母さんは頷いた。