頭の中が真っ白だよ、蘭。
ねぇ蘭、あたしのこと忘れちゃったの?

ウソだよね?
また杏って呼んでくれるよね?


その日は病院に泊まった。


本当は、もう1つ言われたんだ。

「今の状態で杏ちゃんと会ったら、どうなるか分かりません」
「それは・・・どうゆう?」
「蘭くんの意識が戻ったら、杏ちゃんと会わないような生活をしたほうが良い、ということです」
「蘭を別のところに住まわせるということですか?」
「はい」


それって、それって・・・

「もう蘭と会えなくなるの!?」
「杏・・・」
「やだよ?あたし、蘭がいないと寂しいし、悲しいし・・・」

最後まで言葉は出なかった。
部屋には、あたしの泣き声だけが響いてた。


――その2日後。
蘭が目覚めたという連絡が入り、お母さんが蘭をおばあちゃんの家に預けた。




そして今、いなくなってしまった蘭が


目の前に、いる。