あたしは、間違ってたのかな…?
なら、どこから?

蘭と一緒に生まれたとこから?
あの時「行かないで」と引きとめなかったとこから?
蘭に会ったとこから?
それとも、昨日…?


でも、間違いだなんて信じたくないよ…。
一瞬でも、君とひとつになれたことも。
君と両思いだったことも。
何一つ間違いなんかじゃない!


昨日の夜、あたしはそんなことをずっと考えてた。
そのせいで一睡も出来なくて、眠くもなかったから朝ごはんの準備をしにキッチンに行った。

どうせ蘭はまだ起きてないでしょ

なんて思ってたのに……いる。



「杏、おはよ」
「お、おはよ…」

蘭は昨日のこと考えたりしないのかな?
…そういえば、あたしは今日からまた『蘭のお姉ちゃん』になるんだよね?
だからか…蘭があんなに……冷静なのは。


「杏、今日早く行こう?」
「うん」


一言も会話をしないまま朝食を食べ終え、準備をして家を出た。




家から徒歩10分のところにある学校に、あたし達は1番のりだった。

いつも、あたし達は遅刻寸前で1番なんてありえなかったのに...。



静まり返った教室は、とても虚しくって。
だからあたしは、誰もいないトイレに逃げ込んで、1人、声を殺して泣いた。


その時あたしの胸には、蘭にあんなことを言った後悔と、もう前みたいになれないの?っていう不安だけが押し寄せていた。