「蘭…?」
何故か急に、杏の声がか弱くなった。
「どうした?」
「お願いが、あるの…」
杏から『お願い』なんてされたことなかったから、驚いた。
でも、その内容にはそれ以上の驚きがあった―。
「……」
どうしたんだ?
「あたしを……抱いて?」
………?!
「えっ?…それって…えぇ??」
「無理なことだとは、分かってるよ?あたし達は、双子だからね…。でも!あたしは…姉弟愛以上に蘭が…蘭が好きなの…!」
「杏は……いいのか?」
もし、俺達が双子だと周りの奴らにバレて…。
更に俺達がヤッたなんて知れたら…杏は……
「いいの…だって、あたし、蘭の彼女でしょ……?」
俺だって、杏を抱きたくない訳じゃない。
本当のことを言えば、杏が俺の彼女になった時から抱きたかった―。
「でも…ほら、今母さんだっているし…な?」
「蘭は…どうしても嫌なんだね…?」
「別にそうゆうことじゃっ…」
「杏!蘭!ごめん!急用が出来たから出掛けてくる!今日は泊まってくるから!後よろしくね!!」
俺の声は、母さんの声でかき消された。
