あの時、まだ5歳だったあたし達。


ちょうどその日、蘭はお父さんと一緒に海へ行った。
あたしも行くはずだったんだけど、
昨晩から風邪気味で、行けなかった。

「蘭、あたしの分も楽しんでね!」
「うん!早く直してね、杏」

そんな会話をしたのも鮮明に覚えてる。


その日の夕方、電話がかかってきた。
警察からだった。
嫌な予感がした。まだ5歳の子供でも、そのくらいは分かる。


電話を切ったお母さんは、あたしを連れて警察署へ向かった。


――嫌だ。あそこに入ったら、見たくないものがある。

そう感じた。