暫く先輩にされるがままになっていたんだけど…、
「あ、予鈴……」
お昼の時間に終わりを告げるチャイムが響き渡った。
「ざーんねん」
そう言いながら離れていく手。
……寂しさを感じるなんて、何かの間違い。
「じゃあね、ヒナちゃん」
「はい、また明日」
空になったお弁当を抱えながら教室へ向かう。
先輩と会うのはいつもお昼の時間だけ。それ以外は他の休み時間も放課後も、先輩が会いにくることはない。
勿論、わたしから先輩に会いに行くこともない。
出来ればお昼も、教室に来るのはご遠慮いただきたい。
――ガラ…
ゆっくり開けても音がなる扉に手をかけて教室に入る。
……途端に突き刺さる視線、視線シセン。
決して友好的ではないそれらを感じながらわたしは席についた。


