「そんなんじゃ終わりだな。」

晴くんはそう言った。

自分の首に手を回しながら。

あ。

これは晴くんの昔からの癖。

嘘をつくときの。

晴くんは必ず、嘘をつくときに、自分の首に手を回すんだ。

きっと、自分では気づいていないんだろうけど。

あたしのこと、気にしてくれてるんだね。

ありがとう。

「うん...。」

そのあとは、他愛のない話をした。

屋上から教室へ戻ろうとしたとき。

誰もいないはずの非常階段に、2つの人影が見えた。