先パイとあたし


次の日から、俺は自分の意思を伝えるようになった。

それをキッカケに、クラスの奴らも谷川に逆らうようになった。

そして今度は、谷川が孤立するようになっていた。

しばらくして、谷川の転校が決まった。

クラスの連中は、「早く転校しろ!」って言っていたが、俺はそうは思わなかった。

誰よりもそう思うはずなのに。

だから俺は、転校する日に谷川に言ったんだ。

「谷川!」

「波野。何の用だよ?」

「俺、谷川のこと許してないよ。
今でも谷川のやってたことは、間違ってたと思ってる。
でも、谷川はそんなに悪い奴じゃないよ。」

「は?何言ってんだよ?」

「本気でそう思ってる。
転校した学校でも、また誰かをいじめたりするなよ!」

「うるせぇよ。」

「じゃぁ、元気でな!」

「お前もな!」

俺が谷川にそう言えたのも全部、あいつが、陽太がいたからだ。