〜侑side〜


ガタン…キー


愛と柚々は涙を拭いた。
すると、柚々が口を開いた。


「…説明するね。昨日、西園寺さんに優花ちゃんは告られたの。」


「まぁ、むちゃくちゃな告白だったけど。」


「どんな告白?」


「"中野優花。俺の家で暮らせ。"」


はぁ?


「すっげーいきなり。」


大雅が不機嫌そうに言った。


「そんで?」


「"優花、俺はお前に惚れた。だから、付き合ってくれ。"だってさ。」


「優花は断ったのか?」


「もちろん。侑くん一筋だったから…。」


「それで。どうして優花は連れて行かれたんだ?」


「西園寺瑛斗が勝負を挑んだのよ。」


「勝負内容は?」


「"一週間の間に告れ。それでOKされたら、お前の勝ち。一週間以内に告れなかったり、振られたりしたらお前負け。"だってさ。」


「優花は…。負けるって分かってたのか…?」


「分かってた。だから断った。でも、西園寺は優花を脅した。」


「脅した?」


「"この賭をしないって言うなら、お前の母親、一生無職になるぞ。"って言って優花を脅したの。つまり、優花のお母さんをクビにするって言ったの。」


「…っ!あんにゃろ…。」

「だから優花は勝負を受けた。で、優花が勝ったら、優花のことは諦める。優花が負けたら西園寺と暮らす。」


「…そう言うことか。条件が一つ追加された。優花が負けたらこの高校を止めさせられるらしい。」


「「…!!」」


「それじゃ…」


「優花ちゃんに…もう…会えない……。」


「「ぅわぁぁぁん!!」」


愛と柚々がまた泣き出した。


「…。喧嘩。」


雅人がボソリと呟いた。

「同意。喧嘩してくる。」


そう言って大雅は俺を見た。


本気だ…。


そして、雅人と大雅が同時に口を揃えて言った。

「「優花、連れ戻して来る。」」


「…止めろ。…そう簡単にはいかない。」


空が俯きながら言った。

「そうだ。相手は超金持ち。優花の親父さんをクビに出来るほどの坊ちゃんだ。」


「…っ!」


「何も出来ねぇのかよ…。」


俺のせいだ…。俺のせいで…。


「くそっ…!!」


ポン

空が俺の肩を軽く叩いた。

「…真は悪くない。」


「いや…。俺が…」


「ひっく…。そーよ。真は悪くない。」


愛は涙を拭いて立ち上がった。


「さっきはゴメン。真は何も悪くないよ。」


「そうだよ。」


そう言って二人は微笑んだ。

次の瞬間。
みんなの携帯が一斉に鳴り響いた。