気を失えた方が楽だったのかもしれない。


だが、ミウという格好の玩具を手に入れた子供たちも愚かではなかった。


ずる賢い彼らは、ミウが意識を失うその寸前で攻撃の手を止めるのだ。


ミウのためではなく、自分たちのために。


バレれば玩具を取り上げられることがわかっている自分たちが、できるだけ長くミウで遊べるように。


生かさぬよう、殺さぬよう。


まさにその言葉どおりに、ミウは自身の身に降り注ぐすべての痛みを、余すところなく享受させられるのである。


痛みに慣れる人間がどれだけいるだろう。


それでも一人で耐え続けてきたミウは、もう限界だった。


いたぶられ続けた体も痛ければ、心はそれ以上に痛かった。


時間をかけて人間の尊厳とも言うべきものを破壊されたミウは、橋の上から、静かに流れる水面を覗き込む。


体を前に倒せば、痣になった腹部が痛んだ。しかし、ミウに躊躇う理由は最早ない。