嵐の日から(短編)



彼女は自分自身をどうしてよいのかわからなくなっていました。







そして、あの家もあの荷物たちも…。











砕けてずぶ濡れになって汚れてしまったものを、長い長い時間をかけて繕うのでしょうか。





どうみても元には戻らない物を眺めては悲しむのでしょうか。





小さな破片を集めてはそれがどれほど大切だったかを思い出すのでしょうか……。





それとも、いっそ1つ残らずあの家の一室に閉じ込めて思い出と繋ぎあわせて暮らすのでしょうか。






























「いいえ!
そんなことするもんですか!

もう、過去に生きるなんてしないわ!」






こう叫んで彼女は持っていた手紙を高くかかげ、手を放したのです。






手紙は風が吹くままに気まぐれにひらりひらりと舞い上がり、やがて彼方へ消えていきました。








彼女は、再び臆病な自分になってしまわないようにと心に誓ったのです。