――もう、言うべきよね 私が不安になっていることを…。
大丈夫。きっとわかってくれるはずだわ…―――
ベラトリスは少し身を乗り出し、声をひそめて言いました。
「本当に怪しいほど穏やかでのどかな日和ね。
どうにも不安だわ…。
きっと何かとんでもないことが起こる前触れだと思わない?
現に風の音が少しかわりましたもの」
するとアーリャは笑って言ったのです。
「ベラ…そんな深刻に考えをする必要なんてないわ。
貴女はもっと明るい考え方を持つべきよ。
今日のような良き日に何があると言えるかしら?」
アーリャはベラトリスが臆病になったのはイヴァンがこの街を離れてからだということをわかっていました。
もともと世話好きで面倒見が良いアーリャは、長年の友人を励まそうと、あえて言ったのです。
ところが、ベラトリスは愕然としました。
アーリャの気遣いにベラトリスが気付けないのと同じく彼女の心配事もアーリャには通じていませんでしたから。

