年下彼女に負ける俺-1-

「美桜子、帰ろう?」


私のことを真っすぐ見ながら言うので、なにも言わずに頷いた。



ちょっと残念だなー…とか思った私。

いや、本当にちょっとだけですから。



そんなことを考えていると、聡ちゃんが言った。




「まあ、俺らはもうちょっとゆっくりでもいいんじゃないの。」


聡ちゃんの話はそれで終わりだと思ったら、まだ続いていた。




「今日1日美桜子といれてよかったよ。まっ、最後のことについてはお預けな。」


それと…お預け食らった時の美桜子、可愛かったよと言われた私は恥ずかしくなるだけ。

プッと思い出し笑いをする聡ちゃんを見てると、イライラした。




「聡ちゃんなんて嫌い。」


ぷいっとそう言っては、そんな美桜子も好きだけどと言った聡ちゃん。



なんなんだ、今日の聡ちゃんは。

やけに素直すぎないかと思っても、その謎は私にはわからない。



でもそんな聡ちゃんの影響か、私も小さな声で好きと呟いては聡ちゃんと一緒にいられることの幸せを感じていた。