「どんな壁が立ちはだかろうと、どんな残酷な現実が襲ってこようとな、
言ったろ?伝えることが大事だって」

「残酷な現実が…襲ってこようと……」

オルビスがゆっくりと手を離す。
クリュっちが乱れた襟元を直す。

「それが、恋が稔る可能性が限りなくゼロに近くても、
または稔らないという確証を得た後でも、な」

「…クリュっちの言葉ってさ、御託を並べてるようにしか聞こえないのに、
なんか心を動かされるんだよなあ」

クリュっちの言ってることがあながち間違いではないってことか?

オルビスの恋は稔らないってことか?

…稔らないのか?なんで。

「騙されたと思って伝えてこいよ」