「わっ…」
案の定私はバランスを崩して平衡感覚を失った。
黒い鋼板が近づいてくるのを待ちうけて構えたとき、たくましい腕が私を支えた。
私はまるでUFOキャッチャーのアームにつかまれた景品のようで、
でも腕の強さは詐欺のようなアームとは違って…。
「何してんの。本気で降りれなかったとはな」
「…すいません」
「すいませんじゃねーよ。ありがとうだ」
ぶっきらぼうな物言いの中にも優しさがあって。
すらっとしてるのに力があって。
いや、男の人なんだから当たり前だけど、
細身の腕がたくましいなんて、知らないし…。
こんなギャップ人、初めて見たし。
…でもクロの腕も優しくてたくましかったかも。