「ドラコ?」

「赤い飛行艇だ」

「…さあ、見なかったなぁ」

そのクロの返答にそうかと言ってうなだれるクルシオさん。

「置いてきたのか」

そんなクルシオさんに向かって、真剣な面持ちで心配するクロ。

コクリとうなだれたまま頷いたクルシオさんは、
まるで脱走したペットの猫ちゃんが見つからなくて、しょんぼりしている子供のようだった。

「アエタス・プーベースは見た感じ全機パクスについてきてたから、
残りの母艦や大佐艦なんていう、のろまな大型艦にドラコが追いかけられても、余裕で逃げ切れるでしょ」

あれ、さっきまでどこか怖かったクロが今は普通だ。

「まあそうだろうけど、銃撃とか当たってないかな」