怪我人が必死に呼びかける。

寝ているんだから、少し休ませてあげればいいのに…。

「コバルト…」

私の父親であるクルシオは、彼に自ら命名したであろう名を静かに呼んでいた。

コバルト…かあ……。

そういえば昔、身近にいた気がするなあ…コバルトって人。

クルシオが呼んでいたのが、今でも耳に残っている。

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………………

…………

「おい、コバルト!」

それは、まだ私たちがマルス・ファミリアにいた頃。

「なに?うるさいな…」

「俺ぁ配達に行きてぇんだが、ステルラが連れてけとせがんできてしつこいんだ」

「だから?」

「遊んでやってくれ」