「あ、とれたのか、さっきの衝撃で。どうりで…」

「ははは…」

「……」

「……」

「…まずい」

「え゙」

頭をよぎった“墜落”の文字。

「うそ。エレベータがとれたくらいで墜落させるかっての。この俺が」

そう言って彼は振り向き、
ゴーグルの下の目は細く、笑っていた。

彼は……って、あれ?
今更だけど私、彼の名前知らなくない?

「そういえば、あなたのお名前はなんていうんですか?」

「秘密」

「あれっ教えてくれないんですか」

「なんで知る必要がある?」

「呼べないからです」

「なら勝手に名前つけて」

なんか…嫌われてる?

名前も教えてくれない人なんて初めて…。