クルシオさんが速度を落とし、私に近づく。

「戦争するか配達するかは、人それぞれなんだな」

そうですねとしか返し様がないコメントを随分大事そうに言ったクルシオさん。

配達は人助けだと思う。

人の気持ちを、届けるお手伝いをするんだから。

「あの屋上に着陸するぞ」

「はい!」

宅配便も手紙も。

施設に島ごとに分けた分を届け、
あとはその施設の人たちが配達するらしい。

空族の地元じゃないからね。

配達の帰り道。

あの岩場の上を通った。

クロと別れたあの岩場。
クルシオさんとクリュさんに出会ったあの岩場。

"あ、やばい"

あの日のクロの声が、耳のすぐ近くで聞こえた気がした。